団信にて住宅ローン完済。相続と抵当権抹消手続きはセット?注意点も解説
「団信で住宅ローンを完済しましたので、抵当権抹消お願いします。」このようなご依頼もいただいております。
事例で説明しますと、被相続人A、相続人は妻Bと子Cとします。
不動産はA名義でAは住宅ローンを借りていたため、団信(団体信用生命保険)で完済したということになり、今回奥様であるBからご依頼を受けたということになります。
そもそも抵当権とは一体なんなのか?この場合の手続きの流れ、注意点、費用も含めて解説いたします。
抵当権とは
抵当権とは、金融機関が不動産を担保にする権利です。
住宅ローンの返済が滞った場合に、不動産を競売にかけることができる権利という意味です。
不動産担保という保証があるので金融機関は何千万円の住宅ローンを貸出しできるということになります。
住宅ローンを利用している場合は例外なくご自宅に抵当権が設定させております。
そして抵当権は登記簿にも記載されております。
担保を取っている金融機関名、貸出金額、利息、債務者 等が登記簿に記載されていることになります。
注意点として、住宅ローンを完済したら上記抵当権を登記簿から抹消する必要があります。
完済しても勝手には消えませんし、金融機関が抹消してくれるわけでもありません。
金融機関は抹消に必要な書類のみ交付し、「後は自分で抹消するか司法書士にお願いしてくださいね。」といったスタンスです。
住宅ローンを完済したら、金融機関から抵当権抹消に必要な書類は交付してもらえるので、後はご自身か司法書士に頼んで抹消手続きをすることになります。
抵当権抹消登記手続き
では団信で完済した場合の抵当権抹消の注意点ですが、原則は相続登記をしなければ抵当権を抹消できないということです。
最初の事例でいうと不動産名義人であるAは亡くなっておりますので、死者が抵当権の抹消はできないでしょ。といった理屈です。
よってまずは相続登記をする必要がありますので、例えば妻であるB名義にしてから抵当権を抹消することになります。
少々難しい話しですが、相続登記の申請と抵当権抹消の申請は同日同時に法務局へ提出することは可能です。
現行法では相続登記は任意(令和6年4月から相続登記は義務化される予定ではありますが。)ですので抵当権の抹消も行わずに長年放置されることも見受けられますが、金融機関が合併した場合や商号、本店が変更してしまうと抹消書類が使用できなくなり、再発行のため時間や費用がかかる可能性もあります。
早めに着手することをお勧めいたします。
抵当権抹消登記費用はいくら?
相続登記の登録免許税は一概には言えませんが、(相続登記費用につきましては下記のコラムをご参照ください。)抵当権抹消の登録免許税は不動産1つにつき、1,000円となります。
普通のご自宅であれば、土地と建物で2,000円が税金になります。
司法書士に依頼したとして、実費と合計しても20,000円以内というとこが多いのではないでしょうか。
まとめ
1.抵当権は住宅ローンを借りた際に、金融機関が不動産を担保にする権利です。
完済したらご自身で抵当権の抹消登記を申請する必要があります。
2.団信で住宅ローンを完済した場合は相続登記を入れなければ抵当権を抹消できないことが多いです。
抵当権抹消と相続登記はセットになることに注意が必要です。
3.抵当権抹消の登録免許税は不動産1つにつき1,000円です。
土地と建物各1つのご自宅では、2,000円が登録免許税となります。
この記事を書いた人
司法書士 近藤 雄太