子供がいない夫婦は絶対遺言書を残すべき理由!遺言書例も紹介します
以前のコラムでも書きましたが遺言書は生命保険と同じ考えで、残された家族のためにも残すのは必須とまで思っております。
遺言があれば下記多くのメリットがあります。
1.相続人同士の争いを防げる。
2.生前のうちに遺産の分け方を決めておける。
3.相続手続きに必要な書類が少なくてすむ。
4.相続人以外にも財産を渡すことができる。
5.相続人が遺産分割協議をする必要がない
私(近藤)もまだ30代ですが未成年者の子がいるため、遺産分割協議を避けるためにも遺言を残しております。
下記リンクに特に遺言を残した方がよい方も含め記載がありますので参考にしてください。
当事務所でも多くの相続手続きをお手伝いさせていただいておりますが、遺言を残しておられる方は1割前後といったのが実情です。
相続人が配偶者と子供だけの場合では、紛争になるケースは多くはありませんので遺言がなくても問題なく相続手続きが完了することが多いですが、絶対に遺言を書いた方がよいのが子供のいない夫婦です。
子供がいない夫婦で遺言がない場合の相続手続き
当事務所でも子供がいない夫婦の相続手続きをお手伝いしたことはありますが、依頼者は「子供はいないし、相続人は自分だけなので簡単に手続きできるでしょ?」と思っておられる方がほとんどです。
ところが子供がいなければ、第2順位の相続人は父と母になります。つまり、配偶者の父、母ですね。
第2順位である父と母も亡くなっている場合は第3順位である配偶者の兄弟が相続人となります。
例えば、ご主人が亡くなった場合、奥様とご主人の兄弟全員と遺産分割協議をしなければならないのです。
先に兄弟が亡くなっていたらその下の世代(ご主人の甥や姪)までもが相続人になってしまいます。
不動産の相続登記(不動産の名義変更)や預金の相続手続きには相続人全員が遺産分割協議書にご実印で押印し、印鑑証明書の添付が必用になるのですが、ご主人の兄弟や姪、甥となると関係が希薄で連絡先も知らなかったり、相続人も10人以上になってしまったりと相続手続きが困難になってしまうことが多いです。
このケースでの相続手続きは一気に難易度が上がり、ご主人の兄弟を確定させるためにご主人の父、母の出生から死亡の戸籍謄本までもが必要なため、膨大な戸籍を取得することになります。
そのため、時間と費用が多くかかってしまいます。
遺言があった場合の手続き
もしご主人が「全ての財産を妻に相続させる」といった趣旨の遺言があったら、原則は遺産分割協議の必要がないため、ダイレクトに妻が相続財産を取得します。
特に不動産の名義変更に必要な戸籍謄本は、ご主人が亡くなった旨と妻の記載がある戸籍のみでよいため、比較的簡単に手続きができます。
遺言がなかった場合と比較して、ご主人の兄弟や甥、姪の協力は不要なため負担が少ないのがおわかりいただけるかと思います。
また、兄弟の相続人には遺留分もないため、遺言があれば確実に配偶者に相続財産を残すことができるのも大きなメリットになります。
配偶者に全てを相続させる遺言記載例
夫婦の一方に相続財産を全て渡したい場合はこのような内容で大丈夫です。
遺言執行者も指定しておきましょう。
※遺言執行者については別のコラムにて紹介したいと考えております。
できれば公正証書遺言をお勧めいたしますが、自筆証書遺言でも法的要件さえ備わっていれば有効です。
遺言書さえあれば上記のとおり残された配偶者は大きな負担なく相続手続きを進めることができます。
ぜひこの機会に検討してみてください。
当事務所では遺言のサポートもしておりますのでお気軽にお問合せください。
まとめ
1.子供がいない夫婦の相続手続きは、配偶者の両親か兄弟、果ては姪や甥までもが相続人になる可能性があります。全て配偶者が相続するわけではないので注意してください。
2.遺言があれば比較的簡単に相続手続きができます。特に相続登記(不動産の名義変更)は最小限の戸籍で済むため時間も費用も節約することができます。
子供がいない夫婦では遺言書は必須と考えております。
この記事を書いた人
司法書士 近藤 雄太